Search
Calendar
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< November 2017 >>
Recommend
New Entries
Recent Comment
Category
Archives
Profile
Links
mobile
qrcode
RSSATOM 無料ブログ作成サービス JUGEM
人間の愚かさを笑い飛ばせ、フィル・ムロイ
0
    7月18日(土)横浜にある芸大大学院の映像研究科で行われた
    「コンテンポラリーアニメーション入門」の第一回講座に参加してきました。

    今回のテーマは「人間の愚かさを笑い飛ばせ、フィル・ムロイ」。

    フィル・ムロイ
    1948年生まれ。イギリス。
    作品の特徴はシンプルな絵と動きに、途方もなく強烈な内容。人間や社会のあり方に常に疑問を投げかけている。詳細はこちらのページにて。

    その内容は、ともすればひたすら下品としか言いようがないと思う人も多く、常に賛否両論が分かれる作家さんです。
    私自身も、3年前の広島国際アニメーションフェスティバルで初めて見たときに、
    「こんなものをなんでわざわざ特集上映するの?
    ひたすら下品なだけじゃない!」と思った口でした。

    ところがどっこい今回は…



    お…おもしろい!
    こんなにおもしろいなんて!!
    3年前のまったく表面的なことだけ見て、作品の善し悪しを区別していたんだろう、と猛反省した次第だったのでした。

    以下、上映作品です。
    (すっごく長いよ。ご覚悟を)

    ++++『カウボーイズ-順応者-』 1991 / 3:28++++
    あるカウボーイが野生の馬に魅了され、10年間追い回した挙げ句、ようやく我が馬とする。
    が、おもちゃの木馬に乗った大勢の仲間たちに笑われた彼は、せっかく捕まえたその馬の足を切り、仲間と同じ木馬にしてしまう。
    大衆の中にとけ込み、安らぎと幸福を得る、というお話。

    山村さんの解説では、アメリカの大量生産、大量消費社会への批判ということが紹介されていましたが、すぐに右向け右、になってしまう日本人である私もちょっとドキリとした作品でした。

    動きや画面構成はいたってシンプル。でも、野生の馬の走りだけはとても写実的に描かれていて、そういうところをちゃんと差別化しているのがフィル・ムロイのセンスの出しどころだと思いました。


    ++++『サウンド・オブ・ミュージック』 1993 / 11:01++++
    先に音楽があり、その曲にフィル・ムロイがアニメーションをつけたという作品。
    世の中は絶望に溢れ、一部の金持ちが無数の貧しい人々から搾取し続ける、というお話。

    豊かになるだけ欲求は高まり貧しくなっていく、という現代の矛盾を、何の迷いもなく目の前の利益のためだけに押し進めるシェフたちが、私には一番”嫌なやつ”に写りました。


    ++++『十戒 汝、偽りの神をあがめるなかれ』 1995 / 5:04++++
    不幸にして、ピアノの前にしばりつけられたまま、20年間放置された男の話。
    男は手足を縛られたまま、徐々に神懸かり的な方法でピアノを弾きこなすようになる。が、偽りの神を認めない神様によって男はあっという間に抹消される。

    カトリックの教えは、時としてとても歪んだものになりうる、ということなのか。ラストに漂う哀愁のようなものが、それまでゲラゲラと笑って見ていた観客を自省の念へとおとしめる、そんな罠を含んだ作品だと思いました。



    ++++『世界の歴史・エピソード16文字の発明とその破壊』++++

    肉体的には劣る男がペニスをペンに持ち替えた時から、社会的に優位になる。
    しかし、それは本来生物的な優劣とは関係のない話。

    上映前の解説によると、フィル・ムロイ曰く、世界の歴史には130のエピソードがあり、今の時代はその131個めにあたるそうです。この作品は、16個目のエピソードにあたるんだそうです。

    おもしろかったです!そして深い。
    私自身たまたまこの上映前に「人間から文明を取り去ったらどこまで、野生に戻るんだろう?言葉は残るんだろうか?文字は残るんだろうか?どこからが”人工的”になるんだろうか?」なんてことをぼんやり考えていたあとだったので、余計に面白かったです。
    生物学的に見れば、子孫を残す力のある個体ほど優秀なはず。それがいまの人間が作り上げた社会だと、必ずしも肉体的条件だけで優秀か否かという判断はできない。しかし全ては人間の作り上げたまやかしにすぎないのではないか?ということなんだろう、と私はこの作品を読み解きました。
    でも、そんなことわざわざ考えなくてもタイミングとか、動きとか絵作りとかでもう十分に面白い作品でした。ただ、絶対18禁な内容なので、アニメーションにファンタジーを求めてる人にはとても嫌な気分になってしまうかもしれません。


    ++++『La Lune qui rit (Laughing Moon)』 1994 / 0:30×7++++
    MTVのスポット用に作られた、人間の行動の愚かさを笑う小作品集。

    サラリーマン川柳の毒舌版でした。

    ++++『椅子の性生活』 1998 / 7:43++++
    その名の通り、椅子の性生活を描いた作品。
    いろんな性交法を椅子を使って再現してます。

    こちらも18禁になるんでしょうが、もし何も知らない子供が見たら、
    ただ椅子が伸びたり縮んだりしているだけの絵にしか見えません。
    これを子供に見せちゃいけない!と思うのは、大人たちの頭の中にある勝手な価値観にすぎないんですよね。


    ++++『イントレランス』++++
    宇宙のかなた「ゾグ星」から届いたフィルムをテレビで発表する話。その内容はゾグ星人の日常生活をただ紹介しただけのものだが、困った事にゾグ星人は頭と性器の位置が地球人とは反対なのである。地球人には見るに耐えない映像がテレビから流され続け、ついに怒り狂った一部の地球人たちはゾグ星に侵略に出る。

    まさに、既存の価値観をぶっこわせ!といった作品。
    星新一の親善キッスをすかさず思い出しました。


    ++++『ザ・クリスティーズ』より『ミスター・ヤカモト』 2006 / 6:06++++
    長編作品の中より一本抜粋しての上映。
    Mr.クリスティーとMrs.クリスティー。それに娘と息子と犬がいるある家族と、その友人の日本人ミスターヤカモトの話。
    画面の左右に配置された二人の間をカメラが行ったり来たりするだけの、実にミニマルな画面構成の会話劇作品。音声はすべてコンピューターにプログラムして話させたもので、フィル・ムロイが一人っきりで全てを作っている。(のにエンディングでは長々とスタッフロールが流れるというユーモアつき)

    Mr.クリスティーは婦人の不倫を疑う。「Mrs.クリスティー、あなたは浮気をしましたね」婦人は言い張る「いいえ、あの子は私の子です」「じゃあどうしてあの子は褐色の肌をしているのですか?私もあなたも白人なのに」こんな調子でポンポンと鋭い会話劇が続く。

    ほとんど音声だけを聞いていれば内容がわかってしまいそうな作品なのに、とても単純で見飽きそうな画面に釘付けになってしまうおもしろさがありました。左右にいるのは旦那と夫人のはずなのに、突然犬が現れたて会話を中断したり、婦人のかわりに娘が出て来たり、本当にシンプルな画面なのに、”よくできている構成”なのです。
    ポンポンとリズムのいい棒読みの会話とカメラの滑らかな動き、そして、日本人ミスターヤカモトのへったくそな日本語英語、フィル・ムロイの観察力をまざまざと見せつけられる作品です。
    全編見ていないのでなんとも言えませんが、それまでの作品が大きな社会の抱える問題点と向き合ってように感じられたのに対し、これは、小さな家族の社会の中で起こる様々な面白さに焦点を当てているように思えました。

    3年前にはあれだけ嫌いだったフィル・ムロイ。今回どうしてこんなにもおもいしろめたんでしょうか。
    作品は変わってないはず。となれば自分が変わったんだろうなと思います。

    アニメーションに求めるものは人それぞれ違うと思います。
    でも共通して言えるのが、アニメーションを覗き始めたころ、だいたいの人が「ファンタジーを求めている」ということです。
    もちろん、アニメーションは空想を現実化する手段で、それはファンタジーやエンターテイメントの要素も多く含んでいると思います。
    でも、それだけじゃない。
    目には映らない感情や面白さを他者に伝える手段でもある。
    アニメーションは実は思想の固まりなんだと知った時、きっとそれまで理解できなかった人も、フィル・ムロイのおもしろさに気づけるんじゃないかな、なんて思いました。


    posted by: anikoromushi | イベント | 19:05 | comments(1) | trackbacks(0) |
    感度がいいエッチフレンドを探してませんか?
    | アダルト | 2010/08/07 7:11 PM |









    この記事のトラックバックURL
    http://ani.nayuko.com/trackback/776797
    トラックバック